[00:00.76]《神様はじめました》 [00:07.16]何だ?その弁当は。 [00:12.57]厚焼き卵、ししゃも、煮物...重箱なんかに入れて。学校に持っていくものではないな。 [00:25.40]おお、無理の照り焼きもあるのか。 [00:28.78]うまそうにできているではないか。 [00:31.99]うん、 何だ? よく見たら、全部スーパの惣菜じゃないか。褒めて損した。 [00:42.75]全部じゃない?めしは大抵、あつい米を握っただと。 [00:51.15]まあ、めしくらい握れるか。 [00:57.24]しかし、どこ丼なく形がいびつというか、糊もふぎんきつというか。 [01:05.71]で、何のためにこんな豪勢の弁当を作っているのだ。 [01:12.69]は?花見に行きたいだと?この俺と? [01:20.87]たかが桜を見て、めしを喰うだけなんて、暇なことだ面倒くさい。 [01:28.90]一人で行くだと。 [01:31.58]やめておけ。 [01:33.30]お前のことだから、花見会場でまた面倒なことに巻き込まれるに違いない。 [01:39.98]そんな場所にお前を一人行かせられるか。 [01:46.85]だから、俺に来てほしいだと。 [01:49.91]俺は酔客で溢れる場所に行く気はない。 [01:55.61]何?俺も花見をしながら、酒を飲んでいいだと? [02:05.52]まあ、確かに、それは悪くないな。 [02:13.31]しかたがない、今回は特別に一緒に行ってやる。 [02:19.19]それにしても、何で弁当を用意するところから相談しなかったのだ。 [02:26.32]言えば作ってやったものを。 [02:31.37]内緒にして驚かせたかった? [02:34.79]だったら、それは生硬だな。 [02:39.92]少しじっとしていろ。 [02:45.28]こんなにほうみ米粒をつけて、どれだけつきみぐようしたんだ。 [02:53.24]何?手で取ればいいだろうだって。 [02:57.74]花見についていってやるのだから、これくらい俺の好きにさせろ。 [03:03.47]だまって、じっとしていろ。 [03:07.29]おとなしく しろ、あまリ動くな。 [03:12.60]ほら、米つぶは1つ、2つ、3つ。 [03:23.79]弁当を出掛ける前に食べてどうするんだ。まったく [03:28.28]十分驚かされた。 [03:34.55]それにしても、重箱とは料が多いな。 [03:41.33]皆で行く?やはリそうなるのか。 [03:48.08]何でもない。 [03:49.90]しかたがない、弁当の準備を手伝ってやる。 [03:53.11]少し待っていろ。 [04:00.25]お前に任せていたら、いつでき上がるかわからないからな。 [04:12.58]騒しいやつらが多いが、昼から酒が飲めるのは悪くない。 [04:19.10]お前も飲むか。 [04:21.01]ほら、甘酒だ。 [04:24.46]これならお前でも飲めるだろう。 [04:32.42]うん?来てよかった? [04:36.25]そうだな。 [04:39.45]花もいいが、お前の顔を眺めながら酒は格別だ。 [04:52.05]どうした?ナナミ。 [04:54.24]顔は何だか赤いぞ。照れているのか? [05:01.69]急に笑い出して、どうしたというのか。 [05:07.78]このらしく目もとろんとして、お前、酔っているのか。 [05:16.41]まさか?こんな甘酒で酔っ払うとはな。 [05:24.54]大、大丈夫か。 [05:28.12]心配性って、お前が心配させているのだろうか。 [05:34.42]これ以上飲むな。 [05:37.98]これだから、お前から目を離せないのだ。 [05:43.30]人の話を聞かんやつめ。 [05:46.78]ああ、そうだな。 [05:48.85]桜がきれいだな。 [05:53.68]うん、 今度は弁当がどうした。 [06:01.36]あ、 この卵焼きも手作りだったのか。 [06:06.84]言われて見れば、ぶっがこらしい。焦ているようだな。 [06:14.84]味はたしかだから、食べてみろうだと。 [06:20.76]別に差し出さなくても自分で喰う。 [06:26.40]はやくだと [06:30.18]わかった。 [06:31.56]たべる。 [06:32.29]食べるから。 [06:33.42]そんなに近付くな。 [06:44.58]うまい。 [06:48.42]偶には甘い卵焼きも悪くない。 [06:54.59]お前にしては上出来だ。 [06:57.86]だが、この俺がやられっぱなしはしょうぎ合わん。 [07:05.21]さあ、俺の作った稲荷鮨を食べてみろ。 [07:09.38]中にはちゃんと椎だけも入れてやる。 [07:16.38]どうした。 [07:18.15]俺の作ったものは喰えんとは言わせんぞ。 [07:24.89]顔が近い? [07:27.25]近おらないと食べさせにくいだろう。 [07:30.61]ほら、口を開けろ。 [07:47.19]逃たか? [07:50.13]だが、あいつの焦った顔、ほんとにからかいのあるやつだな。 [08:11.93]あいつ、どこまでいっているんだ。 [08:17.40]まさか、あやかしに絡まれて襲われているんじゃ。 [08:22.56]いや、悪い気配はしない。 [08:27.09]考え過ぎか。 [08:33.54]しかたない、探しに行ってやるか。 [08:53.16]いた。 [08:54.93]夜桜に見通れて返りが遅かったのか。 [09:01.09]昔、同じような場面があったような。 [09:09.54]「そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。 [09:14.23]お前がいつまでも桜が見られるようにな」。 [09:27.05]こんなところにいたのか。 [09:31.25]桜がきれいで夢の中にいるみたいって。 [09:35.03]おい、そんなに燥ぐと転ぶぞ。 [09:40.30]だから、いっただろう。 [09:44.96]どうした? [09:47.02]何を惚けている。 [09:49.60]どこか打ったのか。 [09:54.27]何?桜の天蓋だと、突然何を言って... [10:07.91]「気に入ったなら、ここに御殿を...」 [10:15.58]そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。 [10:22.45]お前がいつまでも桜が見られるように。 [10:30.66]いや、俺は何をいっているのだ。 [10:39.16]桜は散る... [10:43.90]そうだな。 [10:46.27]さっきのを忘れてくれ。 [10:51.61]帰える? [10:53.26]うん、そうだな。 [10:55.93]だいぶ引いてきた。 [11:00.06]あ、また来年も-緒に来よう。 [11:07.01]「そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。 [11:11.79]お前がいつまでも桜が見られるように」。 [11:21.53]あれはだれにいったことなのか。 [11:25.16]忘れてしまった。 [11:29.06]遠い、遠い記憶に... [11:37.83]いや、なんでもない。 [11:41.87]帰るか。俺たちの社に。 [11:55.57]お前のおかけで、今日は気分がいい。 [11:59.98]帰ったら 、部屋の間仕切りを桜にしてやろうか。 [12:04.87]あ、期待していろ。