月灯りと糸车 ~Alies ol iok~  あの頃、 私はリプアラに憧れていた。 絵画でしか見たことのない青い花。 天空の国で書かれた魔法の花の御伽噺を 手垢が付くほど読み返して、 地上では咲くことのない不思議な花に 思いを馳せた。 願いを叶えてくれる花、 思いを実現してくれる花、 心の弱かった私は、 そんな都合の良いリプアラが齎すいう夢物語に 恋をしていなのかもしれない。 時が立ち。 あの日、 本物のリプアラを目の前にした私は、 その花びらが絵よりもずっと青く、 怪我欠く、 あの空のように透き通っている事を知る。 私はリプアラに呼ばれるように手を伸ばし、 たった一輪の其れを胸に抱いて、 家路を急いだ。 生と死を彷徨う弟の末、その日…