番凩 かわいた木枯らし そよそよと かわいた木の葉は ひらひらと 相見[あいまみえる]日を 待ちながら 刻[とき]を数え歩く 綴る言の葉に 彩られ 紅く色めき 刹那に踊る 紅葉[くれは]一枚 手の平に滑り 語るは… 焼けた故郷に 別れを告げて 木の葉の手に引かれ 走り去る 未だ見ぬ未来への 不安など 感じる暇いとまなど ありもせず かわいた木の葉は ひらひらと かわいた木枯らし そよそよと 繋いだ手と手を 離さずに 刻[とき]を数え 翔ける 普[あまね]くヒトの命 背負い その小さき手で 何を紡ぐ ほんの微かな 綻[ほころ]びに 死ぬるこの世で 信ずる道を ただひたすらに 歩むお前の 支えとならん 紅[くれない]の剣[つるぎ]を 携[たずさ]えて この身 木の葉と 吹かれて行こう 戦[そよ]ぐ 風となりて 数多[あまた]の 癒しとなり 生きとし生ける この世の者への 追い風とならん 紅[くれない]、黄金[おうごん]に 彩られ 揺れる 樹々たち 横切りながら 枯れ葉 共に 道連れに 翔け抜ける 木の葉と つがゐこがらし 擦[こす]れさざめく 木の葉と共に 翔ける 一陣の風と共に 留まる事なく 直[ひた]走る かわいた唄と つがゐこがらし